謹んで新年のお慶びを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は昨年5月、法的位置付けが変わり、足かけ4年にわたる行動制限は、ほとんどなくなりました。「コロナ明け」といった言葉もあるようです。深刻な状況は招かないまま、新年も明けました。誠に喜ばしいことです。
さて、昨年の教育界のキーワードを挙げるなら、前半は「生成AI」、後半は「不登校」、通年で「教員不足」でしょう。
コロナ禍による混乱に取って代わって世界を巻き込んだ大きな動きが生成AIの広がりでした。学校現場では、GIGAスクール構想で整備した端末の活用とともに、生成AIとの向き合い方を模索するようになりました。
不登校は古くて新しい課題です。これまで学校現場も、行政機関も、全ての児童・生徒にとって居心地のよい学校となるよう多くの工夫を重ねてきました。
背景には、コロナ禍により、児童・生徒のコミュニケーション力がそれ以前と比べて育ちにくかったことがあるともいわれます。今年は現場、行政の取り組みが実を結び、数字となって表れてくるでしょう。
教員不足問題を巡っては、教員採用選考でさまざまな工夫が見られた年でした。それとともに、教職員の過重労働を軽減しようと、新しい動きが見られます。
その一つは中学校の部活動でしょう。地域移行に向けた動きは今年も活発化しそうです。人手不足は学校だけではありません。教職の魅力が薄れた結果の教員不足ではないはずです。児童・生徒とのコミュニケーションが戻ってきた今、”教職の魅力”が顧みられる年となることを期待したいものです。
今年で創刊78周年を迎える日本教育新聞では、こうした課題を引き続き捉え、紙面と共に電子版でも発信していきます。
いつの世も変わらない教育の本質を見失うことなく、同時に目まぐるしく変化する時代の中、教育は「国家百年の大計」であるという視点をいつまでも忘れず、唯一の教育専門全国紙として、的確かつ充実した紙面を皆さまにお届けすることに努めてまいります。
日本教育新聞社 代表取締役社長 小林 幹長